価格競争が激しい日本市場では、企業が生き残るためには製品やサービスのUXを向上させる必要があります。
UXデザインは、製品やサービスの成功に大きく影響を与える重要な要素です。まずはUXの意味や改善方法を正しく理解することが重要です。
この記事では、UXに関する内容を解説しています。UXの意味からUXとUIの違いやUXの改善方法、UXデザインを向上させるためのポイント、さらに成功事例も紹介していますので、ぜひご活用ください。
"UX" は "User Experience"(ユーザーエクスペリエンス)の略称です。これは、ユーザーが製品やサービスを選ぶ段階から、利用して再び購入したいと考えるまでの全体的な経験や満足度を指します。UXを高めることで、競合他社との差別化や顧客満足度向上、ブランド力向上のようなメリットがあり、近年多くの企業はUXの改善に力を入れています。
製品やサービスの成功に大きく影響を与える重要なUX項目として、以下6つの要素があります。
・ユーザビリティ
・コンテンツ
・デザイン
・インタラクション
・パフォーマンス
・アクセシビリティ
次の項目ではそれぞれの要素を解説していきます。
ユーザビリティとは、製品やシステムなどの使いやすさや効果性、ユーザーの満足度を表す言葉です。ユーザビリティの定義にはいくつかありますが、次のような要素が含まれています。
・目標達成に対する有効性
・記憶に残る操作性
・目標達成における効率の高さ
・使用時の満足度
・エラー発生時の直感的な復旧
これらの要素を高い度合いで満たす製品やサービスは、ユーザビリティが高いと考えられます。ユーザビリティの向上には、ユーザーのニーズや行動を理解し、それに基づいて設計を行うことが不可欠です。ユーザビリティテストやフィードバックの収集を通じて、製品やサービスの改善点を特定し、継続的な改善を行うことが重要です。
ユーザーが製品やサービスを使う際に触れるあらゆる情報や要素を指し、テキスト、画像、動画、アニメーション、アイコン、ボタン、リンクなどが含まれます。これらはユーザーが情報を理解しやすくするだけでなく、必要としている情報を提供する役割があります。良質なコンテンツは、ユーザーの関心や興味を引き、継続的に利用される要因となる重要な要素です。
製品やサービスを利用するユーザーが直面するインターフェースや体験を設計するプロセスを指します。これには、視覚的な要素(デザイン、レイアウト、色彩)、操作性(使いやすさ、ナビゲーション)などが含まれます。数あるサービスやプロダクトの中から自社の商品をユーザーに選んでもらうためには、ユーザーのニーズに寄り添った興味を引くようなデザインを設計することが重要です。
コンピュータやデジタルデバイスを通じて行われる相互作用を指します。これは、ユーザーがデバイスやシステムと対話したり、操作したりすることを指します。例えば、ウェブサイトやモバイルアプリの操作、タッチスクリーンを使ったデバイスの操作、音声認識システムとの対話などを指します。ユーザーのアクションに対してフィードバックが提供されるため、開発者は即座にシステムの改善に取り掛かる事が出来ます。このような相互作用によりユーザーは円滑な体験を得ることができ、製品やサービスの成功に繋がります。
製品やサービスがユーザーに提供する体験の質や効果を指します。例えばウェブサイトの場合、読み込み速度が速い事が重要です。読み込み速度が遅いとユーザーは待ち時間にイライラし、サイトの利用を妨げる要因に繋がってしまいます。その結果、利用者数減少や売上に影響を及ぼすことがあるため、常にパフォーマンスの最適化に取り組む必要があります。
製品やサービスがバリアフリーであり、すべてのユーザーが利用できることです。障害を持つユーザーや異なる環境下でもアクセス可能であることが重要です。
「UI」は”User interface”の略で、製品やサービスとユーザーを結びつける接点のことを指します。サイトのデザインやボタン、ソフトウェアの操作画面などが具体例として挙げられます。UIは「ユーザー体験」であるUXの一部であり、UX向上には良いUIが欠かせません。
「CX」は”Customer Experience”の略で、UXと同じように「ユーザー体験」を表す言葉ですが、CXの方がUXよりも幅広い範囲が対象になっているという特徴があります。UXは、ユーザーが製品やサービスを使用する際に得る体験に対して、CXはユーザーが企業やブランド全体との接点を通じて得る総合的な体験の事を指します。
「DX」は"Digital Transformation"(デジタルトランスフォーメーション)の略で、デジタル技術を活用して業務プロセスやビジネスモデルへの変革を指します。DXの目的は、ビジネスの変革を迅速に実現できるデジタル企業の実現ですが、デジタル化という目的だけでDXを推進しても、新たな価値の創出が叶わず、単にコストが肥大化しただけの結果となるなど、失敗に終わってしまうことも珍しくはありません。正しい目的を見据えてDXを推進することが重要です。
UXデザインを設計する際、どんな製品やサービスでも最も重要なことは「ユーザー視点」です。「ユーザー視点」とは、ユーザーの立場に立って、サービスに対してどんな感情を抱いているかを考えることです。
製品やサービスを良くしようと「ビジネス視点」になりすぎているよくありがちな失敗例として「情報量を多く盛り込みすぎて視認性が悪い」「目を引くためにデザインに凝りすぎて操作性が悪い」などといったユーザーのストレスになってしまうケースです。ユーザーが使いやすい導線を意識することが大切です。
しかし、実際にユーザー視点を理解しようとしても具体的にどのような方法をとればいいのか悩まれることもあるかと思います。ここでは、ユーザー体験を理解するための手法について解説します。
ペルソナとは詳細な「人物像」を設定したもので、名前や勤務先、職種、居住地、家族構成、使用アプリや行動パターンなどを分析・定義します。カスタマージャーニーとはユーザーが製品やサービスを利用する過程全体を可視化し、ユーザの感情、行動を理解するのに役立ちます。この2つを用いる事でユーザーエクスペリエンスの向上が期待できます。
ユーザビリティテストとは違い、UXやUIの専門家が製品やサービスのユーザビリティを評価するための検証手段の1つです。専門家が一連のヒューリスティック(経験に基づいたルールや指針)を使用して、製品やサービスが一般的に認識されるユーザビリティの原則に従っているかどうかを評価します。ユーザーテストやフィールド調査などの他のユーザビリティ評価手法と組み合わせて使用されることがあります。
Webサイトやアプリの最適化を目的とした評価・検証手段を指します。実際にユーザーにWebサイトやアプリで実際に見える画面を体験してもらい、使い勝手についてフィードバックを得るテストです。リアルなフィードバックにより、製品やサービスの開発段階やリリース後の継続的な改善に役立ちます。
自社の商品やサービスを「誰が」「何のために」利用しているのか、購買履歴や購買頻度などを把握することが大切です。先述した「ペルソナ」を設定するとユーザーの分析に活かせます。そして、実際に「ペルソナ」に合致するユーザーに様々なテストを実施してもらうことで、ターゲットの顧客が抱える問題や課題、解決したいニーズや欲求などについてさらに詳しく把握することができます。
市場における競合状況やポジショニング、競合他社の強みや弱点を理解するために競合分析は必要です。市場における競争状況や自社のポジショニングを把握し、強みや弱みを理解することにより、競合優位性を確保するための適切な戦略を策定することができます。また、自社にはない学びも得られるため、新しい視点やサービス改良に大いに役立ちます。
ゴール設定は、製品やサービスの設計・開発プロセスで重要なステップです。UX・UIそれぞれのゴール設定をすればユーザーのニーズや期待に合った製品やサービスを提供し、ユーザーが良い体験を得られるようなデザイン構築に繋がります。
達成したいゴール設定を基に、様々なユーザーデータを活用して、ビジネスや組織の成長や競争力強化に繋げることができます。適切なデータの収集、分析、活用を行うことで、より効果的な意思決定やサービス提供へ繋げられるので、定期的な効果測定が重要です。
一度設定したゴールや設計もその時々に合った定期的な見直しが必要です。ユーザビリティテストの結果や分析の結果からPDCAサイクルを利用し継続的な改善を促進し、業務プロセスやプロジェクトの効率性や品質を向上させましょう。定期的にPDCAサイクルを実施することで、組織や個人の成果を最適化することができます。
スマートフォンやタブレットの普及により、モバイルユーザーの割合が増加しており、ユーザーは移動中や外出先でもデバイスを使用し、いつでも製品やサービスにアクセスする事ができます。さらにデバイスの多様化が進む現代において、UXの重要性はますます高まっています。UXデザインは、マルチチャネルでの一貫した体験を提供することで、ユーザーの利便性と満足度を向上させるので重要です。
現代ではユーザーが同じような製品やサービスを提供する複数の企業から選択することができます。ユーザーが同じ価格帯の競合製品と比較して、より多くの価値を感じることができるようにするためには他社との差別化が必要不可欠です。例えばECサイトであればサイト自体の使いやすさや他サイトにはない機能、実店舗であれば接客や店内の雰囲気が心地良いことなどが付加価値となるでしょう。現代の市場において商品やサービスを売るためには、ただ良いものを作るだけでなく、ポジティブなユーザー体験という付加価値が重要となってきています。
ロイヤルカスタマーとは、特定の企業やブランドに非常に忠実であり、継続的にその企業やブランドの商品やサービスを購入するユーザーのことを指します。これらのユーザーは、企業やブランドに対して高い忠誠心を持ち、頻繁にリピート購買を行うため、企業にとって非常に価値の高いユーザー層です。彼らは一般に、企業の新商品やサービスを受け入れやすく、口コミや推薦を通じて他のユーザー層にも影響を与えることがあります。ロイヤルカスタマーを獲得することで、企業は安定した収益を確保し、競合他社よりも強いポジショニングを築くことができます。そのため、ユーザーとの関係を維持し、顧客満足度を高めるための戦略を継続的に実施することが重要です。
「IoT」とは”Internet of Things”の略でインターネットに接続されたさまざまな種類のデバイスや物体が相互に通信し、情報を交換する技術のことを指します。家電製品、車両、センサー、工場機器などのデバイスが、インターネット経由でデータを収集し、分析し、企業へフィードバックされます。ユーザーと企業が繋がりやすくなったことで、ユーザーが企業と接点を持ちたいと感じるUXデザインを生みだせるかが重要になってきています。
ユーザーが購買プロセス中にWebサイトを離脱する要因の1つは、「サイト閲覧中にストレスを感じた」ということです。たとえWebページに期待していた情報が掲載されていても、ページの崩れや読みづらい文字、スマートフォン非対応、読み込み速度の遅さ、または商品説明のわかりにくさなどの問題がある場合、ユーザーはストレスを感じ、その結果ページを離れる可能性が高まります。
UXの改善をすることにより、ユーザーのストレスを解消し、離脱率を下げられるため、製品やサービスの成功に不可欠です。
UXの向上により、ユーザーは快適な購買体験を享受し、その結果、さらなる継続利用や購入が期待されます。これにより顧客生涯価値(LTV)が向上し、売上に貢献することができます。
現代では、市場には多様な製品やサービスが提供されています。ユーザーはその中から特定の製品を選び利用しますが、UXが不十分であれば、一度きりの利用で他社の製品やサービスに移行してしまう恐れがあります。
ユーザーにとって快適なサービスを提供することで、「継続利用を希望する」「他の商品やサービスも試してみたい」という意欲を喚起し、その結果、リピート率の向上や顧客生涯価値の増加につながる可能性があります。
製品やサービスのUXを改善する際には、提供段階だけでなく、ユーザーが利用する場面や利用後の体験にも注意を払うことが重要です。
たとえば、オンラインで商品を注文した際に、ブランドや商品のイメージにぴったりな美しい装飾が施されていたり、感動的なメッセージカードが同封されていたりすると、ユーザーはSNSに投稿したくなることがあります。
このようなUXが口コミを生み出し、より多くのユーザーを引き付けるきっかけになることもあります。
Amazonは、世界最大のオンラインショッピングサイトで、優れたUXを提供することで知られており、その成功例は数多くあります。
1-Click注文や購入履歴の活用など、購入プロセスを非常にシンプルにすることで、シームレスな購買体験や顧客の過去の購買履歴や閲覧履歴に基づいてパーソナライズされた商品の推薦を行う機能があり、ユーザーは自分の興味や好みに合った商品を見つけやすくなり、購買意欲が高まります。
また、Prime会員向けの迅速な配送サービスや、柔軟な配送オプションを提供しています。ユーザーはより便利に商品を受け取ることができます。
これらがAmazonが優れたユーザーエクスペリエンスを提供し続けている要因の1つです。
Netflixは、映画やドラマ、アニメといったオンデマンドサービスです。UX成功例は数多くあります。
視聴履歴や好みに基づいてパーソナライズされたコンテンツの推薦を行い、ユーザーが視聴している番組や映画に応じて、類似したコンテンツを提案することで、ユーザーが興味を持つ作品を見つけやすくなります。
そして、Netflixの強みは独自のオリジナルコンテンツを積極的に制作・配信していることです。ユーザーは他のプラットフォームでは見られない独占的なコンテンツにアクセスできるだけでなく、Netflixの独自性や魅力が高まり視聴継続を促進しています。
これらの要素により世界で最も理想的なUXデザインを提供している企業の1つです。
カフェ業界屈指の優れたUXを提供する企業の一つです。ユーザー視点のアプローチや、持続的な改善の取り組みにより高い支持を得ています。
スターバックスと言えば、ユーザーが自分の好みに合わせてカスタマイズ可能な注文を行えるようにしています。その種類が豊富で自分オリジナルドリンクを頼めることがUXを高める一つです。
また、最近ではモバイル注文により店舗に到着するとすぐに受け取ることができるシステムがあり、待ち時間を短縮し、スムーズな注文・支払いプロセスを提供しています。
スターバックスのリワードプログラムは、ユーザーが購入した商品に応じてポイントを獲得し、無料の商品や特典を獲得できる仕組みです。これにより、ユーザーはスターバックスでの購買意欲が促進されます。
ユーザーの興味や意欲を常に維持し続ける人気企業の成功例をぜひご参考にしてみて下さい。
Slackはビジネスコミュニケーションツールです。
Slackのアプリやウェブプラットフォームは、使いやすく、チャンネルの作成やメッセージの送信、添付ファイルの共有など、ビジネスコミュニケーションに必要な機能が分かりやすく、新しいユーザーでも迅速に操作することができます。
また、メッセージの検索機能やチャンネルの整理機能など、情報を効率的に管理するためのツールも充実しています。豊富な統合機能を提供しており、他のツールやアプリケーションとの連携が容易です。これにより、ユーザーはSlack内で作業を行いながら、他のツールやサービスをシームレスに利用することができます。
最後に、Slackは使いやすさだけでなく、コミュニケーションの質や効率性も向上させることができます。グループチャットやスレッド機能、リアクションなど、コミュニケーションの円滑化や意思疎通の改善を支援する機能が豊富に用意されています。これらの要素が合わさって、Slackは優れたユーザーエクスペリエンスを提供し、多くのユーザーに愛用されています。
Spotifyはストリーミング音楽サービスです。
まず第一に、ユーザーの音楽の嗜好や再生履歴に基づいて、パーソナライズされたプレイリストやレコメンドが簡単に見つかります。これにより、ユーザーは自分の好みに合った新しい音楽を見つけやすくなり、音楽の探索や発見が促進されます。
次に、アプリやプレイヤーは、使いやすく、再生リストの作成、曲の検索、アルバムの閲覧など、音楽を探索し再生するための機能が使いやすく配置されています。
また、プレミアム会員に対してはオフライン再生機能を提供しており、インターネット接続がない場所でも音楽を楽しむことができます。
そして、複数のデバイス間での音楽再生をシームレスに行うことができます。ユーザーは様々なデバイスで同じアカウントにログインし、自分のプレイリストやライブラリにアクセスできます。
どの機能も普段アプリを使う上で、とても使いやすく楽しめるので、優れたUXで顧客の心を掴んでいるのが納得できます。
クックパッドは日本最大の料理レシピプラットフォームです。
特徴は料理レシピの検索や共有を容易にする直感的なプラットフォームデザインにあります。サイト上では、ユーザーが特定の料理や食材を検索する際に、カテゴリーやキーワードを用いたスマートな検索機能が提供されています。これにより、ユーザーは簡単に興味のあるレシピを見つけることができます。また、ユーザーが自分の好みやニーズに合ったレシピを見つけるためのフィルタリングオプションも豊富に用意されています。
さらに、ユーザー同士がレシピを共有し、評価し合うサービスがあります。他のユーザーと情報交換を行うことで、コミュニティの活性化やユーザーエンゲージメントの向上を図っています。このような優れたUXデザインによって他の料理アプリとしっかりと差別化を図っており、現在、日本国内で約630万人がクックパッドを利用しており、料理系アプリの中でダントツの人気を誇っています。
各業界において、競争がますます激化していく中で、ユーザーは多くの選択肢の中から最適な体験を求めており、技術の進化やデジタル化の進展により、ユーザーの期待はますます高まっています。ユーザーに選ばれるためには優れたUXを提供することで競合他社と差別化する必要があります。
UXは企業やサービスの成功において不可欠な要素であり、今後ますます重要性が高まるでしょう。ユーザー視点のアプローチやデザイン、新たなテクノロジーの活用などが、優れたUXを実現するための鍵となります。
会社名
Funwork株式会社
所在地
東京都千代田区東神田3-4-12
代表者
堀尾 尭史
電話番号
メール
03-5809-2979
URL
設立日
2020年5月18日
資本金
9,000,000円
取引銀行
きらぼし銀行
Webサイト、ITサービス受託開発
マーケティングコンサル事業
シェアオフィス及びコワーキングスペースの運営